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風疹Q&A
大人の風疹がはやっています!
地方都市に東京・大阪より波及しています!
妊娠予定・希望の女性の方は用心です!
アガサクリスティーの「鏡は横にひび割れて」を読まれたことが
ありますか? これは胎児期に風疹に罹ったことが元で、殺人事件
がおこる推理小説です。今日は風疹の話です。
Aさん 風疹ってどんな病気ですか?
Mi先生 湿しん、熱、後頭部リンパ節腫脹を呈する病気です。三日ばしか ともいいます。軽い病気ですが、妊娠初期(5か月まで)のお母 さんが罹ると大変です。
Aさん お母さんが風疹に罹ると、一体どのように大変なのですか?
Mi先生 お母さんは軽い症状が出るだけですが、赤ちゃんには高率に耳、目、心臓などの障害がでます。これを先天性風疹症候群(CRS) といいます。
Aさん 風疹に罹ったお母さんはどのようにしてきたのですか?
Mi先生 おこれまで、多くのお母さんが、風疹に罹患したために流産や中絶をしたり、あるいはCRS児を出産してきたと推測されます。1973年~1998年のデータでは、419人のCRS児が生まれ、その陰で、その数十倍の中絶・流産があったと報告されています。
Aさん 私の友達(48歳)は生まれつき耳が不自由ですが、風疹が原因だったのでしょうか?
Mi先生 お友達は風疹による可能性が十分あったと思います。以前より先天性難聴の、主な原因は風疹と考えられてきました。それを証明するかのように、日本では1987年以降風疹の予防接種がはじまると、風疹の患者が減り、そして先天性の難聴児も激減しました。
Aさん 予防接種が普及して難聴児が激減したので、よかったですねぇ
Mi先生 よかったのですが、いや、十分はよくないのです。風疹は激減しましたが、今年のように時々は流行するんです。それにしても今年はひどい。ひどいとCRS児も多く生まれてくるのです。
Aさん なぜ、激減したのに、いまでも時々流行するのですか?
Mi先生 日本の予防接種行政が不十分だったからだと思います。欧米諸国の多くは、乳児期男女の2回接種方式(米国方式)を採ったのに対し、日本と英国だけは、中学女子の1回接種方式(日英方式)を採っていました。しかし、施行から10年後その差は歴然としたものになりました。米国は風疹をほぼ撲滅したのに対し、日本・英国は風疹が減ったとはいえ、撲滅できず、その発生が時々続いていたのです。
Aさん いまでも、日本は中学女子の1回接種方式なのですか?
Mi先生 日本は1995年より中学男女の1回接種にしたのち、紆余曲折を経て、2006年より米国方式に転換しました。1回のワクチンでは効果が続かなかったこと、男性の感染予防もするべきだったという判断のもとでの変更でした。
Aさん 私は妊娠を希望していますが、接種はどうしたらいいですか?
Mi先生 女性では、23才以下は2回、24才~50才は1回打っており、51才以上は打っていません。男性では、23才以下は2回、24才~33才は1回打っており、34才以上は打っていません。(25年現在)自分がちゃんと打ったかどうかは母子手帳で確認できます。また、抗体できているかどうかは、血液で調べることができます。現在国は、妊娠予定・希望の方とその周りの人、産褥期のひとで、未抗体の方に対し、接種をうけることを検討するようすすめています。また風疹の予防接種を受ける場合、麻疹撲滅の観点も考慮し、麻疹・風疹混合ワクチンを推奨しています。
最後にアガサクリスティーの「鏡は横にひび割れて」を読むと、
風疹が無くなることを願わずにはおれなくなります。